相続の対象になるものは幅広く、その数は現在108種類あります。
相続に関わる士業の方の中には、自分の専門分野ではないご相談も多かったりすると思います。
そんな時にはネットで調べたり、本を探したりすると思いますが、その場ですぐに答えを求められと困ってしまうこともあります。
お客様が実際にどんなことで悩み、ご相談に来られるのかはその時ではないとわからなかったりしますよね。
ここでは、相続を専門としている、司法書士、行政書士、税理士が、自分の専門分野以外だったために、知らなかった事例を紹介していきます。
今回の相続のケースは、公営住宅です。
夫名義で公営住宅を借り、約30年夫婦2人で住んできました。
その夫が亡くなってしまいました。
妻は、「私は夫の相続人ですので、そのまま公営住宅に住むことは可能でしょうか?」
という相談がありました。
あなたなら、この相談にどのように回答するでしょうか?
公営住宅の使用権は相続の対象となる?
一般的に考えると、30年も夫と住んでいて夫が亡くなってしまった場合、その家族はそのまま住めると思いますよね。
これは同居者である家族も、同じように考えられるはずです。
しかし、実際は、入居者(借主)が死亡した場合は、その相続人が引き続き公営住宅を使用する権利は承継されません。
借主が亡くなった場合に相続人(家族)でも公営住宅に住めない理由
公営住宅は、住宅に困窮する低所得者に対して安い賃料で住宅を賃貸することにより、国民の生活と安定と社会福祉増進に寄与することを目的とするもので、公営住宅法や自治体の条例に規定されています。
そのため、公営住宅の入居に関しては、一定の条件をクリアーした者しか入居できません。
このことから、公営住宅の使用権は相続の対象にはなりません。
公営住宅法 第23条 公営住宅の入居者は、少なくとも次に掲げる条件を具備する者でなければならない。
一 その者の収入がイ又はロに掲げる場合に応じ、それぞれイ又はロに定める金額を超えないこと。
イ 入居者の心身の状況又は世帯構成、区域内の住宅事情その他の事情を勘案し、特に居住の安定を図る必要がある場合として条例で定める場合、入居の際の収入の上限として政令で定める金額以下で事業主体が条例で定める金額
ロ イに掲げる場合以外の場合 低額所得者の居住の安定を図るため必要なものとして政令で定める金額を参酌して、イの政令で定める金額以下で事業主体が条例で定める金額
二 現に住宅に困窮していることが明らかであること。
一 その者の収入がイ又はロに掲げる場合に応じ、それぞれイ又はロに定める金額を超えないこと。
イ 入居者の心身の状況又は世帯構成、区域内の住宅事情その他の事情を勘案し、特に居住の安定を図る必要がある場合として条例で定める場合、入居の際の収入の上限として政令で定める金額以下で事業主体が条例で定める金額
ロ イに掲げる場合以外の場合 低額所得者の居住の安定を図るため必要なものとして政令で定める金額を参酌して、イの政令で定める金額以下で事業主体が条例で定める金額
二 現に住宅に困窮していることが明らかであること。
とある為、使用権は相続できませんが、入居を続ける交渉の余地はあるかもしれません。
その場合は、各自治体に交渉しましょう。
自分の専門外の相談にも対応できるのが相続手続カウンセラーです!
相続手続カウンセラー協会では、相続をきっかけに家族がスムーズに再スタートを切り、さらに家族が繁栄していって欲しいと願っています。そのためには、まずは、サポートする側がしっかりした知識を得て、ケースに応じて適切なアドバイスが出来るようになることが大切だと思っています。