初の「森林信託」スタート~所有者に代わり樹木管理、利益分配~

信託の仕組みを活用し、個人や企業に代わって所有林の樹木を管理する「森林信託」と呼ばれる国内初のサービスが、8月1日、岡山県で始まった。

最新の測量技術やITを活用した「スマート林業」を取り入れ、収益を生む森林に変える。過疎や高齢化による担い手不足を解消し、地域の森林保全につなげる。

林業会社などに間伐や伐採を任せ、所有者は建材などとして販売した利益を分配金として受け取る。

所有者にとって手入れができない森林を有効活用できる利点がある。

分配金を受け取る権利を相続することも可能だ。
三井住友信託銀行が業界で初めて取り扱いを始めた。

(令和2年8月2日 神戸新聞より抜粋)

相続手続カウンセラー協会より一言

相続した森林を有効活用するための新しい仕組みが、ついに動き出しました!

相続の際に悩みの種になりやすいのが、実家の山林や田畑を誰が引き継ぐのかという問題です。特に、いざ相続となるとこんな声がよく聞かれます。

「思っていたより評価額が高くて、相続税の負担が大きい…」
「相続したはいいものの、どこからどこまでが自分の土地なのか分からない…」
「土地を活用したいけど、どうすればいいのか全く分からない…」
「結局、固定資産税ばかりかかって、維持するのが負担になってしまう…」

まさに、持っていても使い道に困る“負動産”になりがちな山林の相続。こうした課題を解決するために、三井住友信託銀行が国連のSDGs(持続可能な開発目標)に沿った新しいサービスをスタートさせました。それが「森林信託」です。このサービスは、個人が管理に困っている山林を信託銀行が預かり、適切に運用していくという画期的な仕組みです。

今まで、森林の管理や活用は個人の手には余ることが多く、「放置するしかない」とあきらめていた方も少なくありません。でも、このサービスが広まれば、相続した森林を有効に活用できる可能性がぐっと高まります。もちろん、最初は運用の仕組みや具体的な手続きが難しく感じるかもしれませんが、これから多くの人に認知され、広がっていってほしいサービスだと思います。

日本の国土の大部分を占める山林を考えると、こうした取り組みは今後ますます注目されるでしょう。持ち主にとって負担になりがちな森林を、資産として活かせる時代が来るかもしれません。信託のサービスはいろいろありますが、この「森林信託」は、私も初めて心から賛成できる制度だと思います。