無料通信アプリ「LINE」を通じて、住民票・課税証明書・所得証明書・納税証明書などを申請できる新たなシステムを東京都渋谷区が導入し、4月から本格運用を始める。
利用者はLINEの区公式アカウントから入り、トーク画面上で申請する内容を選択。申請の際には、運転免許証などの写真とともに、スマートフォンなどで撮影した自分の顔写真を送信する。
人工知能を使った顔認証システムで本人確認する仕組みで、区の担当部署が申請内容に従って証明書類などを発行し、郵送する。
犯罪収益移転防止法施行規則の改正により、18年11月からオンライン上での本人確認が可能になった。
従来の郵送請求は、利用者の手元に届くまで5~6日かかっていたが、LINEの利用で大幅に短縮できるという。手数料や郵送料などは電子マネー「LINE Pay」で決済する。
区は、こうした申請サービスに加え、道路や橋、公園などで破損、落書きなどを発見した場合の情報提供も受け付ける。
時期は未定だが、粗大ごみの申し込みや子育て支援への活用など、今後、LINEを通した行政サービスの対象範囲の拡大も検討している。
(令和2年2月6日 産経新聞より抜粋)
相続手続カウンセラー協会より一言
総務省はこの件について、「なりすまし申請のリスクがあり、法律上問題がある」との見解を示し、全国の自治体に対してこのサービスを利用しないよう正式に通知しました。しかし、この判断を不当であると考えた同サービスの開発・運営を手がける株式会社Bot Expressは、総務省の措置が事業の妨げになっているとして、9月10日に東京地方裁判所へ提訴するに至りました。こうした経緯を受け、自治体のオンライン手続きに関する議論がさらに活発化することとなりました。
ところが、実際には2021年1月の時点で、渋谷区の公式ホームページ上に「LINEを活用した住民票の写しの交付サービス」が提供されている旨が記載されており、すでに実運用が開始されていました。自治体によって対応にばらつきがあることが浮き彫りになり、オンライン行政サービスの在り方について改めて問われる状況となっています。
インターネットを活用した行政手続きは便利である一方、セキュリティ面での懸念が常に付きまといます。しかし、この問題を技術的にクリアし、安全性が十分に確保できれば、全国的にオンライン手続きが一気に普及する可能性があります。今後の技術革新や法整備の動向が、この分野の発展を大きく左右することになりそうです。