相続相談事例集：お墓の中で６５年。生きていた長女の戸籍

ご兄弟が亡くなられて相談に来られたAさん（相続人）。
戸籍を確認すると、戦時中に亡くなっているはずの長女Bさんが、戸籍上今も生存していることになっていました。Bさんの除籍謄本が無い状況では、相続手続きができません。

市役所担当課に出向き事情を話したところ、「医師の死亡診断書」または「死亡した事実を証明できる資料」の提出ができない場合は、「失踪宣告」を受けるようにとの回答でした。

死亡診断書は取付け不可能であり、失踪宣告も遺族の心情からできませんでした。
そこで、お墓の中の納骨壷に書かれた俗名または戒名、死亡の年月日と檀家寺の過去帳の記載の確認等を提案しました。

相続人２人で納骨壷をお墓から出して調べたところ、Bさんの俗名、死亡年月日（昭和２０年３月５日）、壇家寺（戦災で焼失）が記載されていたため、それらを写真に撮り市役所へ提出しました。

そして法務局の担当者が納骨壷を確認し、その確認書類を市役所に届け出たことによって、死亡から６５年経ってようやく除籍となりました。

当時は戦時中の混乱期であったため、市役所の建物消失と戸籍の滅失、戸籍や届出書類の管理ができなかった例は意外に多いものです。
先祖を大切にする心が助けてくれた事例で、改めて供養の大切さを実感しました。