介護施設に入居していたお母さんが亡くなったため、北村さん(仮名)が相続手続きの依頼に来られました。
相続人は、お母さんと同じ市内に住む長女の北村さんと、県外に住む二女のお二人。財産は、実家のご自宅と預金がわずかでした。
北村さんは、「相続の話をしたい」と何度か妹さんに言いましたが、よい返事がありませんでした。
原因はお母さんの介護のことなのか、あるいは葬儀のことなのか、色々と思い浮かべてみましたが、「妹の考えていることはわからない・・・」と困惑されていました。
その後手続きの説明をする際に、お二人に相続についての意向を伺いました。
妹さんは、県外に住んでおり、またあまり介護に携わらなかったこともあり、次のようにおっしゃいました。
「全ての財産を姉さんが相続するのは問題ないです。ただし、姉さんが実家を荷物置き場として使っていることが許せないの。私も帰る場所なのに、泊まることすらできないというのはいかがなものかしら。近くにいるのだから、掃除してきれいにしてほしいんです」と。
妹さんは、相続財産が欲しいとかではなく、実家が荷物置き場になって汚くなっていることが許せなかったようです。それを聞いた北村さんは、反省してすぐに荷物の整理をされました。キレイになった実家を見て妹さんも納得され、相続の手続きもスムーズに終わりました。その後、姉妹のわだかまりもなくなり、年に数回帰省の際には実家に泊まり、仲良くやりとりをされています。
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相続というと財産のことばかりが気にかかりますが、財産ではないことに問題点があることもあるので、真意を聞き取ることも大切です。