山本さん(仮名)は娘のA子さん(9歳)を連れて離婚。その数年後に急逝されました。
遺産は、離婚後に購入したマンション(団信加入)と預金、死亡保険金2,000万円でした。唯一の相続人であるA子さんは未成年であったため、山本さんの実母(A子さんの祖母)がA子さんの後見人になるための手続きを進めていました。
ところが、戸籍を集めてみると、山本さんは前夫と結婚の際、前夫の連れ子(B君・16歳)と養子縁組をしていたこと、そして、離婚の際にその養子縁組を解除(離縁)していなかったことが発覚しました。
結果的に、相続人はA子さんとB君になり、2人とも未成年のため、相続手続きは複雑なものとなり、非常に時間がかかりました。
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【養子縁組解消】
再婚によって新しい配偶者の連れ子を養子縁組した後に、再婚を解消(離婚)する場合、離婚と養子縁組の解消は連動していませんので、縁組解消(離縁)には、離婚とは別の手続きが必要になります。
1.協議離縁
まずは、養親と養子が話し合いをして、協議離縁による養子縁組の解消を目指します。相手が養子縁組の解消に応じてくれないからといって、勝手に離縁届に署名押印をして役所に提出すると、 「文書偽造罪」が成立する可能性があります。
2.調停離縁
話し合いをしても相手が離縁に応じてくれない場合や、相手と話し合いができない状態であれば、家庭裁判所に「離縁調停」を申し出ます。
3.裁判離縁
調停でも相手方が養子縁組の解消に同意しない場合には裁判をすることになります。
「親同士が離婚した」「養子に相続させたくない」という理由だけでは、裁判で認めてもらえない可能性がありますので、連れ子の養子縁組も、養子縁組の解消も、慎重に行う必要があります。