会社の事業でいずれは使おうと思って、複数の不動産を買っていた社長のAさんが亡くなりました。事業を継承される息子さんから相談を受けましたが、幸いにも市内の不動産が多かったため、不動産についてはスムーズに手続きが進むかと思われました。
ところが、ほとんどの不動産が信用金庫の担保に入っており、抵当権が付いていました。個人でも会社でも、Aさんが借金をしていたという話を息子さんは聞いたことがありませんでした。
信用金庫に確認を取ると、借入金は一切ないとのこと。
過去の借入れについて保存期間を過ぎた記録は廃棄済みで、恐らく20年以上前に返済が終わっているのでは・・・との返答でした。ローン契約書等の書類も信用金庫には残っていませんでした。
会社の事業資金に充てるため、別の銀行で不動産を担保に新たにお金を借り入れようかと考えていた息子さん。このままでは、借入れができないので困ってしまいます。
不動産を担保にしたローンを返済し終えたときに、抵当権抹消の登記手続きをしないでいると記録はずっと残ってしまいます。抵当権を外す登記の手続きに決まった期限はありませんが、後で困るのは残されたご家族です。できる手続きは、できる時に済ませておくことが大切です。
Check!
借入の時、たいていの金融機関は抵当権の設定登記を行います。しかし、借入金の返済が済んだとしても、不動産の担保記録は自動的に抹消されません。
金融機関も「抹消手続きは自分でやってください」というのが基本スタンスですので、あくまでも抵当権が付いている不動産の所有者が、抹消するための手続きをしなければなりません。
長年、放置しておくと、金融機関の経営体制が変わる場合もあり、その間の変更の履歴をすべて書面として集める必要も出てきます。