売却などの手続きを柔軟にすることで企業や近隣の住民が土地を取得しやすくし、九州本島の面積に相当するとされる所有者不明の土地の活用を進める。
相続時に登記の変更を忘れるなどの理由で、所有者がどこにいるか分からない土地は全国に広がっている。
売却の場合は共有者が不明所有者の持ち分について金銭を法務局に供託することで土地を取得し、共有関係を取消しできるようにする。
土地の賃貸や盛り土などの整備については、不明となっている人以外の残りの所有者の承諾で可能にする。
手続きにあたっては、登記簿や固定資産税台帳などの調査や行政機関、親族らへの聞き取りといった不明者を突き止めるための探索をすることを条件とする。
他の所有者が異議を申し立てることができるように、公告をすることも前提だ。
(令和元年11月18日 日本経済新聞より抜粋)
相続手続カウンセラー協会より一言
所有者不明土地の売却をスムーズに進めるための仕組み作りが、いよいよ動き出しました。とはいえ、実際にそれがいつから本格的にスタートするのかは、まだ見通せないところもありますね。
現状では、1人でも反対したり、所有者の行方が分からなかったりすると、その土地を売ったり貸したりすることができず、結果的に「塩漬け状態」のまま放置される土地がどんどん増えていっています。この問題はかなり深刻で、土地が共有のまま固定されてしまい、どんどん動かせない土地が積み上がっていくばかりです。
そんな中、相続によって引き起こされるこのような状況を改善するための新たな対策が打ち出されました。これによって、少しでもこの複雑な問題が解決されるきっかけになれば良いですね。
もともと日本の国土は限られていますから、手つかずの土地がどんどん増えることは、国全体にとっても大きな損失になってしまいます。だからこそ、登記の義務化や所有権の放棄、さらに共有分の一部を売却できるようにする法律が、一刻も早く施行されることを期待したいところです。これらの改革が進めば、放置された土地が再び活用され、日本全体の土地資源の有効活用が進むはずです。