相続ニュース:土地贈与 国と生前契約~「相続人なし」円滑に国有化~

財務省は2020年度にも、相続人がいない高齢者が生前に国と贈与契約を結ぶ制度をつくる。土地が極度に荒れていて管理費がかさまないかや、所有者に過剰な債務がないかなどを調べた上で契約を結ぶ。所有者が亡くなった時点で所有権を国に移し、土地の管理や処分をしやすくする。

制度の対象となる高齢者は80歳以上とする方向だ。6月中にも詳細を決め、弁護士などを通して「終活」にあたる高齢者に周知する。

(令和元年6月14日 日本経済新聞より抜粋)

相続手続カウンセラー協会より一言

80歳以上の方が国への贈与を行えるようになる時代が、もうすぐやってきます。この制度は来年からスタートする予定で、7月にはその概要が発表される見込みです。私たちのような実務に携わる者にとっては、待ちに待った大きな進展と言えるでしょう。

これまで、「管理できない土地をどうすればいいのでしょうか?」という相談を頻繁に受けてきました。そのたびに、「持っておくしかないですね」としかお答えできなかったのが現状でした。しかし、この新しい制度が導入されることで、より適切で具体的なアドバイスができるようになります。これは、これまでとは違った選択肢を提供できる、非常に大きな変化です。

国や市に寄付したいと思っても、受け取ってもらえなかったことが、空き地や空き家が増える原因の一つだったと私は考えています。誰も使わない土地が相続されずに放置され、相続人が次第に増え、管理が難しくなってしまうという状況が繰り返されてきました。この新制度によって、そういった問題が少しでも解消されることを願っています。

ようやく、行政も重い腰を上げて本格的に動き始めましたね。これからは、土地や空き家の管理がもっと円滑に行われるようになり、多くの人がこの制度の恩恵を受けることができるようになるでしょう。

来月から始まる終活セミナーでは、この新しい制度についてもしっかりとご紹介していきたいと考えています。参加者の皆さんにとって有益な情報を提供し、今後の土地管理に役立ててもらえたらと思っています。