相続ニュース:所有者不明地 解消へ一歩~法成立、売却一部可能に~

所有者不明の土地を一定の条件で売却できるようにする法律が17日の参院本会議で成立した。所有者不明土地問題研究会の推計では16年時点の所有者不明土地は、全国で410万ha(ヘクタール)とされ、九州本島の面積約370万haを上回る。手を打たなければ40年までに計720万haに膨らむ見通しだ。

今回の法律の対象は不動産登記簿に所有者氏名や住所が正常に記録されていない土地(表題部所有者不明土地)で、登記・管理適正化法の概要は下記の通り。

 ●法務局の登記官に調査権限を与える
 ●自治体OBや土地家屋調査士などを所有者等探索委員に任命
 ●所有者を特定できれば登記官が登記情報を更新
 ●特定できなければ裁判所の選任した管理者による売却が可能に
 ●売却した代金は供託。時効消滅後は国庫に

今回の条件を満たす土地は全国の1%程度にとどまるため、今後の焦点は「予備軍」の防止と、すでにある不明土地の管理・活用法となる。

(令和元年5月18日 日本経済新聞より抜粋)

相続手続カウンセラー協会より一言

ようやく、具体的な内容が少しずつ決まってきましたね!その中でも「所有者等探索委員」という名称、本当に素晴らしいネーミングだと思います。なんだか、名前を聞いただけでその役割がイメージしやすくて、とても秀逸です。この制度の導入によって、土地家屋調査士の仕事もこれからどんどん増えていくのではないかと期待しています。

最近の研究では、AIに取って代わられる仕事が増えていく中で、専門家の業務が特にその対象になると言われています。しかし、個人的には、土地家屋調査士の仕事はその波に飲まれることはないのではないかと思っています。むしろ、無くならない仕事の代表的なものとして今後も必要とされ続けるのではないでしょうか。

その理由として、この仕事には属人的な要素が多く含まれており、また、定型的な業務よりも非定型的な業務が多いからです。今回の「所有者等探索委員」の役割もその一つだと思います。AIには真似できない、人間の経験と判断が求められる場面が多いのではないでしょうか。

利用されない土地は、そのまま放置しておくのではなく、どんどん売却して再活用していってほしいと強く思います。空地のまま放置されていても、誰の利益にもならないですから、うまく活用されることで新しい価値が生まれることを願っています。これからの動きが楽しみですね。