相続ニュース:「路線価」否定判決に波紋~相続財産の算定評価基準~

「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」とした東京地裁判決が波紋を広げている。
国税庁は路線価などを相続税の算定基準としているが、「路線価の4倍」とする国税当局の主張を裁判所が認めたからだ。
路線価は取引価格の8割のため節税策として不動産を購入する人もいる。

だが相続税の基準となる路線価と、取引価格に大きな差があれば注意が必要だ。
今回、2棟のマンションを13億8700万円で購入した男性が2年半~3年半後に死亡。
相続人は路線価から2棟の財産を約3億3000万円と評価。

国税当局は不動産鑑定の価格約12億7300万円を基に「相続税の申告漏れにあたる」と指摘し、相続人全体に約3億円の追徴課税処分を行ったが、相続人らは取り消しを求めて提訴していた。

今回、国税当局は国税庁長官の指示で財産の評価を見直すことができる通達の規定を適用し価格を見直している。
通達は国税当局の判断で財産の評価を変えられるため「国税の伝家の宝刀」とも呼ばれている。
だがどんな場合に宝刀が抜かれるか明確な基準はなく、判決に困惑する税理士も少なくない。
                     

 (令和元年11月19日 日本経済新聞より抜粋)

相続手続カウンセラー協会より一言

路線価を否定するなんて、一体どうやって土地の評価をすればいいのでしょうか?「大きな差」とは一体どれくらいの金額のことを指しているのか、具体的には誰にもわからないですよね。

国税庁が持つ最後の切り札がいつ抜かれるかも分からない中で、不動産の価格を計算しなければならない立場としては、正直、困惑せざるを得ません。不動産の評価に関しては、相続税の観点から見ても、今までかなり優遇されてきたように感じます。土地の取引を活発化させるための措置だったのかもしれませんが、時代が変わり、これが大きな転換点となる判例になる可能性も十分に考えられます。

遺産の評価は、基本的にすべて時価に基づいて行われます。でも、時価が明確にわからないことが多いため、さまざまな計算方法で値段を出すしかありません。今回の地裁の判例がどう展開するのか、今後高裁や最高裁へと訴訟が続く可能性もあり、最終的な判断が下されるまでにはまだ時間がかかりそうですね。

裁判の行方に注目しながら、慎重に見守っていく必要がありそうです。私たちも、時代の流れや法の動向にしっかりと目を光らせて、最終的にどんな結論が出るのか、その影響をしっかりと理解していかなければならない時期に差し掛かっているのかもしれません。