相続ニュース:全国初「ふるさと相続」~行政に寄付 生前に運用益~

遺産などを相続人以外に寄付する遺贈寄付について、奈良県生駒市は遺言代用信託を使ったオリックス銀行などの仕組みを利用し、全国初となる寄付を受け入れた。

「ふるさとレガシーギフト」として、オリックス銀行や遺贈寄附推進機構などが2019年4月から全国で初めて手掛けた仕組みで、自治体が対象。寄付者は100万円以上2000万円を上限に信託銀行に入金し、実際の寄付は亡くなった後に実行される。
生前には年1回運用益を受け取れる。元本保証で中途解約も無料でできる。ふるさと納税制度のように返礼品はないが、相続税の対象外となるほか、遺言作成などに関わる煩雑な手続きや費用は不要だ。
少子高齢化や単身者の増加を背景に、社会貢献としての遺贈寄付は注目を集めている。
寄付者の負担の少なさが認識され、自治体の使い道の透明性などが確保されれば導入が広がる可能性もある。
                     

(令和元年10月8日 日本経済新聞より抜粋)

相続手続カウンセラー協会より一言

「ふるさと納税」ならぬ「ふるさと相続」。このネーミング、なんだかとても上手く考えられていますよね。返礼品がないのは少し残念ですが、せっかくなら感謝状や記念の盾があった方が、寄付した人にとっても形として残って良いかもしれませんね。(もちろん、相続人がいる場合に限りますが。)

確実に自治体に寄付できる仕組みが整えば、寄付する際に使い道を指定したいと考える人も増えるのではないでしょうか。たとえば、地元の教育や福祉に役立ててほしいという思いを反映させることができれば、寄付する側も納得感が得られそうです。

最近では、財団やNPOなどが「遺産の一部を寄付として受け付けます!」というキャンペーンを打ち出すケースが増えてきましたよね。確かに、中には「相続人がいないなら、国に取られるよりも自分の意思で寄付先を決めたい」と考える方もいらっしゃいます。そういった方々にとって、この「ふるさと相続」はとても魅力的な選択肢になるかもしれません。

生前にしっかりとしたアドバイスを受け、このような「ふるさと相続」や遺言を通じて準備を整えている方々は安心ですが、何も準備せずに最期を迎えてしまう方も少なくありません。その場合、残された遺族が困ることになります。全く相続人がいないというケースは稀で、調べてみれば遠い親戚の中に相続人が見つかることがほとんどです。

この機会に、自分の遺産がどこに行くのかをしっかりと考える人が少しでも増えてくれると良いですね。自分の意思をしっかりと反映させるために、早めに行動することが大切だと思います。準備をすることで、自分自身も、そして残される人たちも安心して将来を迎えられるでしょう。