相続ニュース:国税、海外資産の監視強化~報告義務化5年~

国税当局が富裕層の海外資産への監視を強めている。

海外資産の報告が義務付けられて5年。年末の時点で海外に5000万円を超える財産を持つ人は、国外財産調書を提出する義務がある。
初年の14年(13年末分)の提出は約5500件、徐々に増加して19年(17年末分)は約9500件だった。ただ、実際の対象者はこれを大幅に上回るとみられている。

5月末には男性会社役員が国外送金等調査法違反容疑で初めて刑事告発された。
昨年から世界各国の金融口座情報が自動的に交換されるCES(共通報告基準)という制度の運用も開始。活発に利用されており、解明が難しかった海外が絡む資産隠しの端緒がつかみやすくなった。
                     

(令和元年10月2日 日本経済新聞より抜粋)

相続手続カウンセラー協会より一言

「海外に財産を隠すのは、ほとんど不可能になりました」。先日、海外の税務事情に詳しい税理士さんとお話をしていた時に、こんな言葉が出てきました。

少し前に、国外財産調書の制度が始まった時は、周囲がかなり騒いでいたのを覚えています。でも最近では、その騒ぎも落ち着いてきたように感じていました。しかし、実際には税務署の監視がますます厳しくなっているようです。海外資産の調査に特化した専門部隊が国税庁に設置され、海外の財産に対するチェックが強化されています。

今では、世界中の銀行情報がほぼすべて報告される仕組みが整っています。そんな中で、財産をどのように守るかをしっかりと考える必要がありますね。

それにしても、海外に不動産を購入する方の中には、相続が発生したときにその財産をどう処理するかをあまり考えていない方が多いように感じます。海外の不動産は、購入する際には魅力的に映るかもしれませんが、いざ相続の時になると、その処理がとても複雑になってしまうことが少なくありません。だからこそ、購入の際には相続のことまでしっかりと考えておくことが大切だと思います。

結局のところ、今の時代では、財産をどこに持っていても透明性が求められ、隠し通すことはできなくなっています。だからこそ、誠実に、そして賢く財産管理をしていくことが必要なんですね。少し面倒に感じるかもしれませんが、将来のために今からしっかり準備をしておくことが、最終的には一番安心できる道かもしれません。