相続ニュース:「後見制度支援預金」広がる~家裁の指示で引き出し~

認知症などで判断能力が衰えた高齢者の資産を管理する「後見制度支援預金」が広がっている。

預金の引き出しや解約に家庭裁判所の了承が必要で、3メガバンクが取り扱いを始めた。地方銀行でも広がっており、銀行業界は成年後見人による財産の使い込みといった不正の防止につなげる狙いだ。

2017年ごろに信用金庫や信用組合を中心に取り扱いが始まったが、家裁ごとに指示書の書式が異なるため、広域で営業するメガ銀行や地銀は取り扱いが難しかった。
しかし、19年に入り、最高裁判所の主導で指示書の統一が進んだのを機に3メガ銀行が取り扱いを開始した。信託銀行の「後見制度支援信託」に加えて、預金の利用についても運用が始まった。

(令和元年10月2日 日本経済新聞より抜粋)

相続手続カウンセラー協会より一言

後見制度支援預金という制度は、今後ますます広がっていく可能性が高いと言われています。この制度は、本人の財産の中から日常生活に必要な金額を手元に残し、残りのお金を後見制度支援預金口座に預けて管理するというものです。この預金を引き出す際には、裁判所からの指示書が必要となります。

従来、この制度を取り扱っていたのは主に信託銀行だけでしたが、最近では3メガバンクや地方銀行、信用金庫、信用組合などでも利用できるようになり、利用の幅が広がっています。後見が開始された直後には、弁護士などの専門家が被後見人の預金を後見制度支援預金口座に移す手続きを行い、その後は家族が後見人としてサポートを続けるという流れが徐々に定着しつつあります。

現在、認知症になる人の数は今後さらに増えると予測されており、それに伴って、こうした新しい制度が次々と生まれてくる可能性が高いでしょう。これらの制度は、認知症やその他の事情で財産管理が難しくなる高齢者やその家族を支えるためのものであり、今後さらに多くの人々が利用するようになることが期待されています。家族や専門家が協力して財産を適切に管理するための手段として、後見制度支援預金は重要な役割を果たしていくでしょう。