郵送による通知などがないため、相続人がデジタル資産の存在を知らないという問題が起きている。
また、親がネットで金融取引をやっていたことを知っていても、利用しているサービスのIDなどが分からず、子どもらがアクセスできないことがある。
デジタル資産は認識されづらく、知らないうちに含み損を抱えているケースがある。
例えば、ネット経由で契約していた投資信託を亡くなった後に解約しなかった場合は、信託報酬を払い続けることになる。
配偶者や子どもが日ごろから、どの金融機関と取引しているかを確認することが最重要。また、本人は資産形成に役立っているかを精査して、健康なうちに不要な取引を閉じるのが有効な対策の1つだ。
仮想通貨の相続は、まず相続人が仮想通貨の交換業者から「残高証明書」を取り寄せることから始める。
デジタル資産の中でも、空港会社の「マイレージポイント」は相続が可能。
一方、Tポイントやnanaco(ナナコ)ポイントなどの買い物時につくポイントはほとんどが相続できない。
(令和元年9月14日 日本経済新聞より抜粋)
相続手続カウンセラー協会より一言
デジタル遺産(資産)の重要性が、近年ますます注目を集めています。実際の相続手続きの場で私たちが直接お手伝いする機会はまだ多くはありませんが、ネット銀行の利用は数年前と比較して数倍に増加しています。また、暗号資産に関しては、相続手続きがまだ確立していない会社が多く存在し、中には“死亡したら終了”といった対応を取るところもあることが分かっています。
私たちが開催するセミナーでは、現時点で108種類の手続きが必要であるとお伝えしていますが、将来的にはさらに手続きの数が増えると予想されています。特に、ネット世代の方々が亡くなると、遺族が全く知らない遺産が隠されているケースも増加するでしょう。FXなどの資産については「どんどんお金が溶けていく」といったリスクもあるため、生前のうちに換金するなど、残された家族が困らないようにするための配慮が求められます。
デジタル遺産の管理は、従来の資産とは異なる複雑さを持ち、迅速かつ適切に対応することが求められる時代になってきました。そのため、今後はデジタル遺産の管理や相続に関する意識を高め、家族や専門家と協力して、しっかりとした準備をしておくことが重要となるでしょう。
※FX・・・Foreign eXchangeの略で、外国為替証拠金取引(ドルやユーロなどの外国通貨(為替)を交換・売買し、その差益を目的とした金融商品のこと)