相続ニュース:「市民後見人」養成24% 全国自治体~家裁の選任も低調~

認知症や知的障害などで判断力が不十分な人を支援する成年後見で、制度に関する一定の知識を身に付けた「市民後見人」の養成に取り組んでいる市区町村は全体の24%(421自治体)にとどまることが、厚生労働省の調査で分かった。

岐阜、和歌山、山口、佐賀の4県では市民後見人を養成している自治体がゼロ。

厚労省は「市民後見人がもっと支援に関われるように後押ししていく」としている。

 (令和元年5月13日 日本経済新聞より抜粋)

相続手続カウンセラー協会より一言

養成研修を受けて市民後見人になった人は約1万4000人いますが、実際に家庭裁判所から選ばれて実際に活動している人は10%未満にとどまっているようです。これは、市民後見人の制度が十分に認知されていないことや、家庭裁判所が市民後見人の活用に慎重であることが原因として考えられます。

今後、増加の一途をたどる高齢化社会において、弁護士や司法書士等の専門職だけでは、後見人のなり手が不足することは明らかです。専門職に頼るだけでは、需要に対して供給が追いつかないのです。この問題に対処するためには、市民後見人の役割をもっと広めていく必要があります。

実際、定年退職した人々が一定の報酬を受けられるという条件で、市民後見人として活動することが期待されています。しかし、現状ではそのような取り組みが広がりかけたものの、まだまだ認識が不足しているのが実情です。定年退職後の社会貢献として市民後見人になることは、本人にとっても社会にとっても大変意義のあることです。

家庭裁判所も、もっと積極的に一般市民を後見人として選任するといいですね。市民後見人の活動が広がることで、後見人不足の問題が緩和され、高齢者や障害者が安心して生活できる社会が実現するでしょう。市民後見人の重要性をもっと周知し、養成研修を受けた人々が実際に活躍できる場を提供することが求められています。

■市民後見人が担う支援範囲のイメージ