日銀によると、一度発行された紙幣は、法令に基づく特別な措置がとられない限り通用力を失うことはない。
現在22種類もの紙幣が有効で、うち18種類はすでに発行が停止された紙幣だ。
「今のお金が使えなくなる」といった詐欺の横行と並んで予想されるのが紙幣自体の「売買」。希少価値が増すとみられる発行年や肖像のお札を、額面を上回る価格でインターネットを通じて売り買いする人が現れるかもしれない。
また「タンス預金」への影響も考えられる。家の金庫などに保管されている紙幣は、国全体で推定約50兆円。眠るお金の目を覚まさせ、消費や投資に向かわせる副次効果を政府は狙っているようだ。
政府がキャッシュレス決済化を推進する一方で、目新しい紙幣を登場させるのは現金志向への後戻りにつながる気がする。しかし、新紙幣に対応するためには、ATM・駅の券売機・自動販売機などを改修しなければならない。そこで、費用負担を抑えようと今からキャッシュレス化対応を急がざるをえなくなる。
すると、「非現金決済が普及する⇒お札の需要が減る⇒タンス預金が減る可能性がある」といった考えだ。
(平成31年4月13日 日本経済新聞より抜粋)
相続手続カウンセラー協会より一言
お金の価値観が変わってきています。日本には50兆円ものタンス預金があり、これが表に出てくると経済が活性化するでしょう。多くの人が相続税対策として現金をタンス預金しています。実際、お客様のお宅で、古い聖徳太子の紙幣を見ることも珍しくありません。こうした古い紙幣が今でも保管されているのを見ると、人々の現金に対する信頼が感じられます。
貯金するのは難しいですが、使うのも難しいものです。例えば、古いお札で1000万円を銀行に持っていくと怪しまれるかもしれません。銀行員が驚いたり、疑いの目で見られたりすることを想像すると、ためらう気持ちも理解できます。長年にわたって少しずつタンスにためれば気づかれにくいですが、いざ使う時には気を使います。そして結局、使わずに貯めたままにしてしまうことが多いです。こうして貯めたお金が、経済の流れに乗らないまま眠ってしまうのです。
お金は使わないと意味がありません。節税も重要ですが、有意義にお金を使うことも考える必要があります。節税のためにお金を隠しておくよりも、そのお金を使って社会や自身の生活に貢献する方が、より有益です。例えば、旅行や趣味に使ったり、家族や友人との時間を充実させるために使うことができます。
キャッシュレス化は進んでいますが、日本は他国に比べて遅れています。私は現金が好きで、カード決済だと金銭感覚が鈍り、無駄遣いしてしまうことがあります。現金で支払う方が節約しやすいと感じています。現金を手に取って支払う瞬間に、そのお金がどれだけの価値を持つかを実感できるからです。この感覚を大切にすることで、より計画的なお金の使い方ができるのではないでしょうか。