相続には、積極財産(現金、預貯金、土地、建物、株式など)と消極財産(借金、債務)があります。
相続人が1人の場合はいいのですが、複数いる際には「遺産分割協議」が必要になってきます。
今回は、積極財産と消極財産がある場合の事例です。
積極財産と消極財産
父が個人事業を営んでいて、昨年他界しました。
父の事業は兄が引き継いでいます。
また事業資金は保証協会を通じて運転資金の借金があります。
父が残した財産は、実家の家と事業の積極財産と、運転資金の為にした借金の消極財産になります。
借金があるとは知らずにいたので、借金があるのなら事業や家などの積極財産も相続せずに相続放棄をしようと思っていますが、相続放棄できる日数の3ヶ月がすぎてしまって放棄できなくなりました。
遺産分割協議で借金を分割協議の対象にできるのでしょうか?
消極財産(借金、債務など)は遺産分割協議の対象外になります
消極財産(借金、債務など)は分割協議の対象とはなりません。
2つの高裁決定が参考になります!
【昭和31年10月9日大阪高裁決定】
「被相続人の負債即ち相続債務は、それが可分のものであれば、相続開始と同時に当然共同相続人にその相続分に応じて分割承継さ赤られるのであり、また不可分のものであっても、これを特定の相続人の負担とするのは、債務の引受として債権者の承諾なき以上効力を生じない関係にあるのであるから、遺産分割の対象たる相続財産中には、相続債務は含まれないものと言うべきである。」
「被相続人の負債即ち相続債務は、それが可分のものであれば、相続開始と同時に当然共同相続人にその相続分に応じて分割承継さ赤られるのであり、また不可分のものであっても、これを特定の相続人の負担とするのは、債務の引受として債権者の承諾なき以上効力を生じない関係にあるのであるから、遺産分割の対象たる相続財産中には、相続債務は含まれないものと言うべきである。」
【昭和37年4月13日東京高裁決定】
「遺産分割の対象となるものは、被相続人の有していた積極財産だけであり、被相続人が負担していた消極財産たる金銭債務の如きは相続開始と同時に共同相続人にその相続分に応じて当然分割承継されると解せられ、遺産分割によって分配させれるものではない」
と2つの高裁決定で遺産分割では消極財産(借金、債務など)は含まれないと決定しています。
このことからも借金や債務は分割協議の対象にはならないことがわかります。
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相続手続カウンセラー協会では、相続をきっかけに家族がスムーズに再スタートを切り、さらに家族が繁栄していって欲しいと願っています。そのためには、まずは、サポートする側がしっかりした知識を得て、ケースに応じて適切なアドバイスが出来るようになることが大切だと思っています。