士業と言っても、万能な人は意外と少ないです。
自分の専門分野以外の事は知らないことも当然です。
ここでは、相続を専門としている、司法書士、行政書士、税理士が、自分の専門分野以外で知らなかった事例を、紹介していきます。
高齢化社会を迎え、相続に関わる専門家の数も、かなり増えています。その中で、今まで経験したことのない案件や相談なども増えているのではないでしょうか?相続は、様々な問題が起こります。
スムーズに問題解決していくには、しっかりとした相続の知識を「得る」ことも大切ですよね。
相続手続カウンセラー協会では、司法書士、行政書士、税理士など、士業の方達にも、相続の知識やノウハウをお伝えし、事例に合わせた解説なども行なっています。
士業の方の中にも知らない人がいる事例がありました
今回の事例は、「被相続人の死亡後から分割協議成立までのアパート収入」です。
相続人3名で、遺産分割協議をしています。
預貯金についてはほぼ決まっているのですが、不動産(アパート)について、協議が中断しています。
今後も継続的に入金される賃料(現在も代表相続人の口座に毎月入金)について、どう分割したらよいのか分かりません。
分割協議書の捺印の日までアパートの収入も相続財産として、分割対象にすればいいのでしょうか?
という相談がありました。
割とよくある内容ですが、このような事例を経験していないと間違ったアドバイスをしてしまうことがあります。
ネットでの解説で、たまに「えっ?」という解説をしてしまっている人を見かけます。
『被相続人の死亡後の賃料』は、法定相続人の共有財産になります
つまり、相続財産ではなく、相続人共有の財産ですから、分割協議の対象外です。
ここがすごくわかりにくくしてしまっているのですが、この事例については、「平成17年9月8日」に最高裁判決が出ています。
(平成17年9月8日最高裁判決)
遺産は、相続人が複数いるときは、相続開始から遺産分割までの間、相続人全員の共有の状態にあるのだから、その間に発生した賃料債権は遺産とは別個の財産というべきであって、各相続人がその相続分に応じてそれぞれ単独で取得するものであり、後にされた遺産分割の影響を受けない。したがって、相続開始から遺産分割が確定するまでの間に不動産から生じた賃料債権は、各相続人がその相続分に応じて分割単独債権として取得したものであり、これを前提として清算されるべきである。
分割協議がまとまらないままだと、相続人が法定相続分で賃料を取得したとして、確定申告で申告しなければならなくなります。
多くの場合、代表相続人の口座に入ったままになっているのにもかかわらず、他の相続人は税金だけ払わなくてはならないという事態になってしまいます。
できることなら、年内に分割協議を済ませてしまいたいものです。
もっとも、ほとんどの場合は、死亡日にさかのぼってアパートを取得した人が賃料全てを取得して、確定申告をするということが多いのですが。
このような事例での最高裁判決が出ていることを自分の専門ではなければなかなか知ることができない
自分の専門外の相談にも対応できるのが相続手続カウンセラーです!
相続手続カウンセラーでは、相続をきっかけに家族がスムーズに再スタートを切り、さらに家族が繁栄していって欲しいと願っています。そのためには、まずは、サポートする側がしっかりした知識を得て、ケースに応じて適切なアドバイスが出来るようになることが大切だと思っています。