最近の家庭事情は複雑化する傾向で、相続人に『先妻の子供』がいるケースも少なくありません。この『先妻の子供』への接触につまずき、手続きが暗礁に乗り上げ、さらに調停や裁判などの争いへ発展してしまう、というご家庭が増えています。
話し合いがまとまらない原因として、「初対面にも関わらず、いきなり故人の財産分けの話をされた」「放棄してくれと言われた」などが挙げられます。
「先妻の子供」からすると
【1】「本当の親がいた」という事実に驚き、
【2】「その親が死んでしまった」という悲しみを受け止める間もなく、
【3】「いきなり親の財産分けの話をされた」となれば、怒りはおさまりません。
そこで、相続人(「後妻」「後妻の子供」)には、「先妻の子供」に自筆で手紙を書いていただくことをお勧めしています。
今までこの方法で、ほとんど無事に手続きを終了してきました。争いになることもなく、財産をたくさん要求されることもありませんでした。反対に「今までお父さんを最期まで看てくれてありがとうございました」「お線香をあげさせてください」「遺産はご遠慮します」というお手紙をいただいたほどです。
まず、戸籍や戸籍の附票等をたどって『先妻の子供』の名前、住所、年齢が分かったところで、相続人にレターセットを用意していただきます。花柄や、淡い色など、「先妻の子供」が受け取ったときに印象のいいものをご用意いただきます。住んでいる土地や年齢なども参考にして。手紙はすべて手書きです。直接便箋に書くのではなく、ある程度文章を作成してから清書します。
次に文章ですが、下記の8点を手紙の中に盛り込んでいただきます。
②亡くなったことの報告
③連絡が遅くなったお詫び
④なぜ連絡先がわかったか
⑤財産調査はこれから
⑥遺産分割には協力していただきたい旨
⑦形見分けやお墓について
⑧連絡先
中には文章作成が苦手な方もいらっしゃいますので、文面のお手伝いをする場合もありますが、皆さん、予想以上に上手に書かれますので、むしろ手伝わないほうがいいかもしれません。相続にはいろいろな事情がありますが、参考にしていただければと思います。