お母様が亡くなられ、相続人はAさんと弟のBさんの2名。
相続財産である不動産の取り扱いに、なかなか時間がかかりました。
理由は、
①隣地の学校に売却する予定の不動産があり、誰が相続して売却益を得るのか
②相続する土地上にBが建てた家と貸家があるが、両方未登記
③登記簿上では存在するが、公図には載っていない土地がある
という3つの問題があったのです。
これらを解決するため、下記のように手続きを進めていきました。
①隣地の学校に売却する予定の不動産に関してはBが相続し、売却益を得る。
Bは預貯金も相続するが、金額に関してはAの指示に従う。
②まず、土地をBの自宅が建っている部分と、貸家が建っている部分とを分筆。
Bは自宅の敷地部分のみを相続し、貸家とその敷地をAが相続。
底地の分筆登記→各土地の相続→建物の表示登記・保存登記、という流れ。
③Aが相続する土地に隣接する土地は、「国調現地確認不能」の土地だった。
市役所に問い合わせると、本来であれば市に所有権を移転し、閉鎖しなければいけない土地だが、何らかの理由で所有権の移転登記がされなかったもよう。
市役所側は、相続登記した上で、市への所有権移転を希望し、Aもこれを承諾。
かなり時間がかかりましたが、様々な要素が重なった手続きでした。
Check!
相続登記がされないまま放置されている不動産の中には、このように権利関係が複雑に絡み合ったものが多数あります。将来的に、相続登記の義務化が検討されており、未登記のままにしておくと罰則があるという世の中に変化していくかもしれません。相続人達の意向を確認しながら、解決の糸口を提案していきたいものです。