宗教の違いが思わぬ方向に

お母さまを亡くされたAさん(長男)が、「弟(次男)が話を聞いてくれないので、どうしたらいいでしょうか」と相談に来られました。

原因はAさんの宗教のことでした。

Aさんの家は、仏教徒(浄土真宗)で、先祖代々、仏教式のご葬儀をあげてこられていました。ところが、Aさん自身はキリスト教徒であったため、今回亡くなったお母さまの葬儀を、喪主としてキリスト教式で執り行われました。
そのことが原因で、地域の方や菩提寺のお坊さんが、大層ご立腹されたようでした。

これをきっかけに、弟さんは、Aさんに対して不満があるのか、「相続で大事な話がある」といっても、聞く耳をもってくれないということでした。

弟さんに話を聞いてみると、「兄は長男なのだから家を継いで、お墓を守っていってほしいと思っています。でも、キリスト教でお葬式をしたから、菩提寺さんからお母さんのお骨はお墓に入れられないと言われてしまいました」と大変困られた様子でした。
しかしながら、手続きをしなければ相続税を納税できないこと、遺産分割が終了しなければいつまでも相続の問題を引きずってしまうことをご説明しました。

すると弟さんも事情を理解してくださり、Aさんと話し合ってくださることになりました。

結局、家の祭祀は弟さんが受け持つこと、そして今後の法事の費用なども自分の法定相続分とは別に弟さんが保管することをAさんも了解され、無事に分割協議書が完成し、相続税の申告も期限内に終了しました。
 
しかし、今でも兄弟の間には少ししこりが残っており、お母さまの法要のことなどは話しにくいようです。

自分の葬儀をどのような形で行ってほしいのか、また、どのような形で弔いをしてほしいのか、お母さまがエンディングノートや遺言書で残しておられたなら、この問題は起こらなかったと思われます。 葬儀のやり方など、生前の希望があるならその希望をきちんと書面でお子さんに伝えておくことが、家族の争いを防ぐ1つの手立てとなるでしょう。

Check!

葬儀や宗教以外でも、後に家族が困ってしまうこととして、お墓をどうするか、誰が家を継いで位牌や仏壇を守るか等が挙げられます。
「希望がある場合には、元気なうちにご家族に伝えておきましょう!」

相続手続カウンセラーの皆さまには、相談の場やセミナー活動をとおして、繰り返しお伝えいただきたいと思います。