相続ニュース:「高齢者おひとり様」死後託す~葬儀や納骨、官民が終活支援~

ひとり暮らしの高齢者が増えている。
近くに家族や近親者がいなければ、自身の最期や死後の手続きを誰に託すか不安に感じる人もいるだろう。
そんな「おひとり様」向けに、自治体や民間企業などで終活を支援する動きが広がっている。見守りや安否確認だけでなく、葬儀や納骨など死後の手続きをパッケージにして提供するサービスもある。

2018年の「国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、65歳以上の人がいる世帯では単独世帯が27.4%に上り、過去最多となった。
高齢夫婦だけのおひとり様予備軍を加えると全体の6割近くに達する。

日本少額短期保険協会(東京・中央)の報告によると、15年4月から4年間で孤独死した人は全国で3392人に上り、男性が8割以上を占め、女性よりも孤立しやすい状況が浮き彫りになった。現役世代も男性で37%、女性で41%おり、必ずしも高齢者に限った問題ではない。

 (令和元年8月24日 日本経済新聞より抜粋)

相続手続カウンセラー協会より一言

「おひとりさま」からの相談が増えてきています。これは、私の友人のツイッターでも多くのフォロワーに注目されており、関心が高いテーマとなっています。ただし、「おひとりさま」と一口に言っても、実際にはさまざまな状況があります。親兄弟や子供などが全くいない人もいれば、子供はいるが疎遠で一人暮らしをしている人もいます。それぞれの状況に応じた対応が求められるのです。

共通しているのは、多くの「おひとりさま」が「孤独死をしたくない」「自分の死後、他人に迷惑を掛けたくない」という強い思いを持っていることです。そのため、生前に死後事務を50万円で請け負ってもらう契約を結ぶ人が増えてきています。しかし、こうした契約を請け負う会社が倒産したり、預かり金を横領したりする問題も発生しています。最近では、有名な協会が破綻したというニュースもありました。

このような背景から、死後事務の請け負いは民間企業よりも行政が中心となり、社会福祉事務所などが担当することが増えていくのではないかと考えられます。行政が請け負うことで、横領の危険はあっても、倒産の恐れがないため、死後事務が確実に行われると期待されています。

さらに、ある程度資産に余裕のある方は、任意後見契約・遺言・死後事務委任契約の3点セットを公正証書で作成しておくとより安全です。このような契約を結ぶことで、より確実に自分の意思を反映させ、安心して暮らすことができるでしょう。心配事は誰にでもあるものですから、一日でも早く安心できる環境を整えるために、早めの対応が必要です。

全体として、「おひとりさま」の増加に伴い、孤独死や死後の事務手続きに対する不安が高まっていることが分かります。こうした不安に対応するためには、行政や専門機関が積極的にサポートし、信頼できる仕組みを提供することが重要です。これにより、多くの人々が安心して暮らせる社会を実現することができるでしょう。