専門家:呉 静香さん(司法書士) | 聞き手:米田貴虎(一般社団法人相続手続カウンセラー協会代表理事) |
家族信託に適した人は?
米田:ズバリ、どのような人が家族信託に適していると思われますか? 個人的な意見としては、
①収益不動産を持っている人
②事業の経営者!
この2タイプは絶対に必要だと思いますが・・・。
①収益不動産を持っている人
②事業の経営者!
この2タイプは絶対に必要だと思いますが・・・。
呉:私も同感です。遺言は一人でできる行為ですが、信託は「託す人」と「託される人」の会話が無いと成り立たないものです。
誰に何を託すのか、どういう将来像を描いているのかを明確に伝え、認知症など万が一の事態に備える必要がある方々です。
誰に何を託すのか、どういう将来像を描いているのかを明確に伝え、認知症など万が一の事態に備える必要がある方々です。
米田:あと、
③夫婦の一方が既に認知症になってしまっている場合も家族信託に適していそうですね。
③夫婦の一方が既に認知症になってしまっている場合も家族信託に適していそうですね。
呉:そうですね。例えばご主人が亡くなった場合、奥様が認知症だと手続きが大変になりますし、奥様に財産を渡すのは心配です。家族信託で子どもに託しておいて、自分が亡くなった後は奥様を受益者にする契約を交わしておけば安心ですね。
米田:奥さんを愛していらっしゃる方には、ピッタリですね(笑)。
呉:確かに(笑)。あと、④認知症対策という点では、ご本人が生きていらっしゃる間に家を売る必要があるかないかで判断していただきたいです。施設に入るための費用が必要になってから家を売りたいという方が多いので。
認知症になってしまってからでは、成年後見制度しか打つ手がありません。
認知症になってしまってからでは、成年後見制度しか打つ手がありません。
米田:認知症高齢者に対して成年後見人制度の利用者が5%に満たない中で(推計500万人を超える中で21万人)、ほとんどの人が成年後見制度を利用せずに過ごされていますよね。
呉:そうです。家族が施設の費用を用意できる場合など、生前に財産を動かす必要が無ければ、後見や信託の必要はありません。しかし、収益不動産の場合、やはり信託を使った生前承継が重要だと思います。
「報酬の目安は?」
米田:家族信託は、設定するのに費用が高い
というイメージがありますが・・・。
というイメージがありますが・・・。
呉:決まった報酬基準はなく、信託財産の価額に応じて設定している事務所は、100万円、200万円のところもあります。
私どもの事務所では、ご自宅やお金だけの信託といったシンプルなケースは報酬と実費を合わせても50万円位の方が多いです。
収益不動産など、事業をされている方は信託の設計上、契約項目が増えるため、報酬50万円+実費で、100万円弱が目安です。
一方、成年後見の場合、月々3万円として年間36万円位の報酬がずっと続きます。
「後見のランニングコストに比べれば、家族信託の初期費用は安い」という考え方と、「起こるか起こらないか分からないことに50万円以上払うのは高い」という考え方があります。
私どもの事務所では、ご自宅やお金だけの信託といったシンプルなケースは報酬と実費を合わせても50万円位の方が多いです。
収益不動産など、事業をされている方は信託の設計上、契約項目が増えるため、報酬50万円+実費で、100万円弱が目安です。
一方、成年後見の場合、月々3万円として年間36万円位の報酬がずっと続きます。
「後見のランニングコストに比べれば、家族信託の初期費用は安い」という考え方と、「起こるか起こらないか分からないことに50万円以上払うのは高い」という考え方があります。
いずれにしても、元気な内に財産の将来について家族と話し合い、生前に承継する必要性があるかを検討されることが大切です。